笑う門には福も来る

鈍間な主婦の気儘で憂鬱で有頂天な日常。

「ペテロの葬列」宮部みゆき著・文春文庫

 

「ペテロの葬列」宮部みゆき著・文春文庫

 

 

 

文庫になったら。

そう思っておりましたらいつの間にか、最新シリーズの「希望荘」刊行っっ。

 

焦って読みましたし。

この作家さんの物語は時間のある時にぐぁしっと密に読みたかったのですが

通勤電車の中で

ランチ休憩の合間に

休日の我が家で

読み進めまして、読み切りました。

 

このシリーズはとても

人の心の動きの怖さが容赦なく描かれる気がします

しかも何と言いますか

物語の「核」と思われる事件のその影で、ひっそりと誰かの心が動く。

ラストにその落とし穴が披露され、一気に突き落とされるんですよね。

3作目だし、結構覚悟して読み進めはしましたが

 

ああ、そう来るのかこっち側からなんだ、ってもう。

気付いた瞬間結末前に一旦項垂れるって言う状態・・・・・

やられました。

でも前作の時に

あの家を売ってしまおうって言われた時の心のひずみのままでは

続かないのではないのかなと、ちらりとそんな感想は持っていたので

やっぱりそうなのか、とも思いました。

最後のマスター良かったな。自己紹介あのタイミングなんだ、むぷ。

 

 

これからはその職業を選ぶのか、答えはもう出ているのでしょうけれども

私はまた文庫化を待つ身なので、ネタバレは覗かずにいるのです。

 

結婚を決めた時の覚悟は本気だったろうと思うし

その後も無意識の窮屈感も間違いではないだろうし

愛していたのだから、愛しているのだから

我慢ではなく唯、その時を誠実に生きようと必死だっただけではないのかなぁ

そしてそれはきっと二人ともそうであったのだろうし

お互いがお互いに似合う人になるようにと

優しさがすれ違ってしまっただけではないのかなぁ。

でもあの感覚の違いが「育ち」による感覚の違いであるとするならば

起こるべくして起こった事態なのでしょうかね。むずかしいものです。

 

当の事件については

そう言う事か、と言った感じで

一つ一つが紐付いてゆく過程は面白かった。

人質の方々の、想いの揺れ、良識と欲望の均衡の保たれ方は

どの方の感情もすごく共感できて、自分の事の様にハラハラした。

私だったら、どうするかなぁ。

 

もし、被害にあっていれば。

送り主が何者かも知る事が出来ていれば。

それでも受け取らずに居られるのか、自信ないな。

 

殺伐としていた印象

事件が解決しても、誰にも笑顔が戻らない様な

どこかに切り傷を負わされたような気がした。そんな物語でした。

 

あ、そうだそうだ。一人救われた人が居た。

彼とは今後の付き合いとかあるのかな。

杉村氏が跡を継ぐのであれば、今後の登場もありなのではないだろうか。

あの中華料理店、わたしも行きたいな。

 

そしてやはり

この作家さんのすっきりするほどの容赦のなさが、私は好きなのである。早く文庫化を!