笑う門には福も来る

鈍間な主婦の気儘で憂鬱で有頂天な日常。

涅槃の雪 /西條奈加著

 

町与力の高安門佑は、新任の北町奉行遠山景元の片腕として市井の取締りに励む毎日だ。その最中、元遊女のお卯乃を屋敷に引き取る。お卯乃との生活に安らぎを覚える門佑だったが、老中・水野忠邦が推進する天保の改革は、江戸を蝕み始めていた。改革に反対する遠山らと水野の鬩ぎ合いが苛烈を増す中、門佑は己の正義を貫こうとするが―。爽やかな傑作時代小説。第18回中山義秀文学賞受賞作。

 

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爽やか?

とは思ったのですが、そうだ、読後は清涼感あったな、と思い出してました。

 

物語が、とてもしっかりしていて

なんといいますか読み応えがあって

改革の理由、市井の暮らしや活気、改革を実際に進める立場の葛藤

現代にも通じるものってあるんじゃないのかなと

難しさや、切なさや、横暴さ

それぞれの立場の言い分を読みながら感じました。

 

改革が進んでゆく中でも

市井の人々の生きる力は見事で

感じる活力が江戸の町が持つ魅力そのものだったんだろうなぁなんて

そんな事も思いました。

 

それにしても、お卯乃さんは本当に良かったよ・・・

この作家さんて、恋細工と言いはむ・はたるといい悲恋が多いから

一瞬覚悟したんですが、ホッとした。

 

描き口が洗練されていて、読み心地が個人的に大好き。

読みサボっている間に既刊本沢山あって

焦ってしまうけれど、嬉しい。楽しみ。