笑う門には福も来る

鈍間な主婦の気儘で憂鬱で有頂天な日常。

「Burn.−バーン− (角川文庫)」著・加藤シゲアキ

 

さめきった天才子役・レイジが出会ったのは、人生を謳歌するホームレスとドラッグクイーン。彼らに触れ、レイジは人間らしい心を取り戻すが、幸せな時は冷酷な力によって破られて…。家族、愛の意味を問う青春小説。

 

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物語を読み終えて

もう一度この表紙を眺めて

そしてまた泣けるという

なんとももう、懸命に生き抜いた、生き抜いている人たちの物語でした。

 

たぶん

生きる、生きてゆく、生き抜く

それはどういうことなのか

なにをもって

どんな自分として在ることが生きていることなのか

 

レイジくんが誰と出会ってどんな経験をして

どんな感情を抱えて

なにを大切に思い

なにを悔しいと思い

なにを許せないと思うのか

そして、どんな言葉をその胸に抱くのか

彼の変わりよう、成長なんだろうなぁ

その過程が繊細に丁寧に端正な言葉で描かれていると感じました。

 

言葉はわかりやすく

文章も読みやすいんですけど

さらっと読める内容ではなくて

一つ一つの出来事にじぶんの心も揺さぶられて

ただ物語を読む、というよりも

その物語の出来事に

じぶんも心ごと、とくさんの言葉を借りて言うのなら「魂ごと」

物語に吸い寄せられるようでした。

 

レイジくんの楽しさがとても感じられたから

後半の怒涛の出来事が読んでいるだけなのに悔しくて

彼が自分の言葉を吐き出し始めた瞬間は

わたしももう、涙が止まらなかった。

 

人は強くて弱くて残酷だけれど、きっと優しい。

だれでもどんな面も持ち合わせているけれど

どの面を前面に押し出し生きてゆくかによって

じぶんの自分に対する生き方の選択が異なることが

それぞれの違いになるのだと思う。

 

すっごく素敵なの物語だった

感想をこうやって記事にすることが久しぶり過ぎてうまくまとまらないけれど

ほんとうに、読んでよかったなぁ。この作家さんやっぱり好きだ。

 

ローズさんの最期は描かれない

ああ、そうなんだとその描写から読み取る。

その描き方がとても粋だと思った。すき。

 

生まれてくる命

いまはもうない命

なくなってしまう命

手繰れば、生きている人とつながっていた命。

 

謎、というか

解き明かされる繋がり、よかったなぁ

あそこでまた泣いて、もう最後まで涙が止まらなかった。

そうやって

生きてゆく者が繋げて、形にしてゆくんだね

そうやって人はちゃんと思い出になって

魂は燃え続けてゆくんだ、誰かの胸の中で。

 

 

 

ちゃんと

じぶんの情熱はどこにあるんだろう

探しながら生きてゆければなぁと思いました。

最近そいえば何かとあきらめがちだもんなぁとか、反省したり。

 

記事書きながらまた泣けてきた。

読むのも大事だけれど

こやって文章にまとめることは大事だな。

この本を読み終わると

どうしてもまとめたくなったのだ

きっとそれが私の情熱なのかもしれない。

魂は、そこにこそ籠っているのかな。