笑う門には福も来る

鈍間な主婦の気儘で憂鬱で有頂天な日常。

探している

***












何年居ても、この世界には「ここまで」が見当たらない

















例えばせれんちゃんは
いつまでもその「かわいい」の進化が止まらないし


ワタシはいつまでも
自分が何がしたいのか探し続けているような気がする

そうしてそうやってあてどもなく探し続ける事は
終わりが見えなくとも辞める事をしない

それっていったい
どうゆう事なのだろう
















だからここへ来れたのかな
こんなに沢山の本があるのなら
ワタシが探す何かの答えは

寧ろ本当はワタシが何を探しているかの
その答えが載っている本が、どこかにあるのかも
うろうろしているとそんな気になった

誰ともなく問い掛けてみた

「ねね、あると思う?」

探してごらん

誰かの声が、聞こえた気がした。












オルガンの近くにはなかったの
もう少し上なのかな

ワタシは何かを探しているの
ワタシは何かを失くしてしまったのかしら?


『失くしたのなら、本当は何かを持っていたの?』


ううん、きっと何にも持っていなかったと思うの
あ、それなら
ワタシは何かが欲しいのかしら?


上へ向かうワタシに
誰かの声は静かになっていた













動きを止めるワタシに
心配そうな声が響く


『見つからないの?探したいものはちゃんと分かっているの?』


待ってもう少し
もうすぐ何かが、心の中に届きそうな気がするの
ここに居れば、ここに居られれば
ワタシはワタシの言葉を、見つけられそうな気がするの











『自分の言葉を探しているの?』


そうなのかな、分からない
ワタシはワタシの言葉を、失くしてしまったのかな
本の家の屋根裏も通り抜けて
何にもない場所でぼんやりと時をやり過ごす


『何にも思い出せないのなら、本当は何にも失くしてないんだよ』


そんな事は無い
そんなんじゃない
ワタシは絶対、何かを探しているの


『でも分からない』


ぐるぐる考え続けるワタシに声は答えを急かす
そう、分からない
そう言われると、本当は何に為に此処に居るのかもわからなくなった


『探し物は、きっと、無いんだよ』


でも何かが足りないの
絶対にワタシは何かが欲しいと思っているの
何かを見つけたいの
今のワタシに満足できる何かを、ワタシは


『それならきっと、探し物は答えだよ』


くっくと
笑いを噛み締めるように誰かの声はワタシに言い聞かせる


答え?


『そう、答え』
今の自分のままで良いのか
今の自分の言葉を信じて良いのか
その答えを探しているんだよ


『君は何も失くしてないし、足りないものだってない』
十分過ぎるでしょう

今度は突き放したように心に突き刺さる




それなら
あのねそれなら、ワタシに



誰かの声に縋ってみる
そうだワタシは、言われたかったんだ



『・・・・・・自分で見付けて』



最後の方は、かすれるように聞こえなくなった
静寂が本物だと諦めると
ワタシは階下へと急いだ













タイプライターなら
パソよりももっと、納得できる表現が見つかるのかな


もっと丁寧に、言葉を繋げられるのかしら


声はもう届かない
そうか、自分で見つけなくちゃいけないんだ










もう一度珈琲を飲んだ

『向こうで休んだら?』
そう聞こえたと思ったら
ワタシは外に居る








クローバーのじゅうたんにブランコ
鳥かごにはさえずる鳥が居る

ねーとりさん
ことりさんは自分のさえずりに躊躇いは無いの?


ちちちち


さえずる小鳥は
ワタシの事をちらりとも見なかった




いいもんねーだ
探すんだもの
答えは自分で見付けるの

ワタシの言葉で何が出来るのか
物語の決着はどこへ向かうのか
きっと自分で探せる

気が付けばワタシは、探しているものを思い出してた



探しもの、やっぱりあった
失くしてはいなかった
ただ自分に備わるものを、確かめたかったんだ













荷台に積んだクローバー
誰のお庭に届けに行こうかな















お邪魔致しました♪
あんど
せれんちゃまありがとう。ちゅ



















探し人*紡