笑う門には福も来る

鈍間な主婦の気儘で憂鬱で有頂天な日常。

読人日誌*ナ行作家様

迷宮 /中村 文則

迷宮 /中村 文則 胎児のように手足を丸め横たわる全裸の女。周囲には赤、白、黄、色鮮やかな無数の折鶴が螺旋を描く――。都内で発生した一家惨殺事件。現場は密室。唯一生き残った少女は、睡眠薬で昏睡状態だった。事件は迷宮入りし「折鶴事件」と呼ばれるよ…

『わたしをみつけて』/中脇初枝著・ポプラ文庫

その切実な思いは、きっと届くと信じたい。いい子じゃないと、いけませんか。誰かの仕打ちで、ひとは傷つく。でも、ほかの誰かのひとことで、生きていけるようになる。施設で育ち、今は准看護師として働く弥生は、問題がある医師にも異議は唱えない。なぜな…

『通天閣』西 加奈子著/筑摩書房

***『さくら』で彗星のように華やかなデビューを飾った西加奈子の第4作にあたる長編小説。どうしようもない人々が醸し出す、得体の知れないエネルギーが溢れている大阪ミナミ。社会の底辺でうごめく人々の愚かなる振る舞いや、おかしな言動が町を彩って…

『ふる』西 加奈子著/河出書房新社

***池井戸花しす、28歳。職業はAVへのモザイクがけ。誰にも嫌われないよう、常に周囲の人間の「癒し」である事に、ひっそり全力を注ぐ毎日。だが、彼女にはポケットにしのばせているICレコーダーで、日常の会話を隠し録るという、ちょっと変わった…

『おやすみラフマニノフ』中山 七里著/宝島社

***第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに秋の演奏会を控え、プロへの切符をつかむために練習に励んでいた。しかし完全密室で保管される、時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれた。彼らの身にも不可解な事件が次々と起こ…

『掏摸(スリ)』中村 文則/河出書房新社

*天才スリ師に課せられた、あまりに不条理な仕事……失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、お前が親しくしている女と子供を殺す。綾野剛氏絶賛! 大江賞を受賞し各国で翻訳されたベストセラーが文庫化。**「土の中の子供」以来、2作目の作家さんです。実は購…

『ふくわらい』・西 加奈子著

***丁寧で謙虚な遣り取りなのにこんなに笑えるのはどうしてなんだ。■□■□■□■□■□紀行作家の父から、マルキ・ド・サドをもじって名づけられた鳴木戸定。書籍編集者の定は、身なりに無関心、感情を表さずに人付き合いも機械的にこなす。一方で、彼女は、旅先…

『さよならドビュッシー』・中山 七里著

***言えなかったのではなくて、彼女は言わなかっただからそこにもやはり悪意は潜んでいたのだ■□■□■□■□■□ピアニストからも絶賛!ドビュッシーの調べにのせて贈る、音楽ミステリー。ピアニストを目指す遙、16歳。祖父と従姉妹とともに火事に遭い、ひとり…