笑う門には福も来る

鈍間な主婦の気儘で憂鬱で有頂天な日常。

『ルピナス探偵団の憂愁』 津原 泰水著/東京創元社










高校時代「ルピナス探偵団」と称して様々な謎解きに関わった三人の少女と少年一人。だが卒業から数年後に、一人が不治の病で世を去った、奇妙な小径の謎を残して—。探偵団最後の事件を描く第一話「百合の木陰」から卒業式前夜に発生した殺人事件の謎に挑む第四話「慈悲の花園」まで、時間を遡って少女探偵団の“その後”を描く、津原泰水にしか書き得ない青春探偵小説の傑作。




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読み進めながら、まさか、と思っていたら本当にそうで息を呑んだ。
こう言うシチュエーションって、そこからもう予想外。

物語のなぞ解きにさり気に潜む切なさがこの物語ではもう、冴えすぎていて。
誰にも言えない、それでも自分亡き後も守れたら。そんな静かな決意を抱えた本人も説いた彼女たちも、優しかった。


今回の方が、より想いの深みが感じられたような。そんな気がしました。
もう続かないのかな。
でも続く度に思い出しては切なくなりそうだ。それもなぁ、どうかなぁ。

サクッと読める手軽さの割に、物語から感じ取る想いは結構胸に残るのが意外。
忘れられない四人と、一人と一人。