笑う門には福も来る

鈍間な主婦の気儘で憂鬱で有頂天な日常。

「金色の野辺に唄う」・あさのあつこ









「金色の野辺に唄う」・あさのあつこ



山陰の静かな山あいの町で、九十を超えた老女・松恵が息をひきとろうとしていた。看取るのは、松恵の曾孫で絵心を持つ中学生・東真、松恵の孫に嫁いだ元OL・美代子、近所の花屋店員・史明、松恵の娘で稀な美貌を授かり持った奈緒子。四人ともかつて松恵に受け止められ、救われた過去があった―。屈託や業を抱えながらも、誰かと繋がり共に生き抜いていくことの喜びを、晩秋の美しい風景の中に力強く描き出した連作短編集。 


 ちょうど図書館の予約待ちの番号が2,3人になったころ

 たまごアイスさんの「一言メッセージ」に“映画みたいな作品”というようなことが書いてあって

 (そうでしたよね?たまごさん^^;)

 楽しみにしているところへ ワタシの番がやってきました♪



 一人の老女が「死」を迎える。

 その状況の中で 老女との関わりを手繰りながら過去に戻って行ったり今を噛みしめてみたり

 さまざまな人物の角度から物語が語られます。



 自分が死と向き合うことにより先だった「夫」を思い出す

 自分は分かりあえていたと思っていたのに、夫は自分と似ていない次女の出生について

 妻を死ぬまで疑い続けていた・・・・

 「あの子は誰の子なんだ」

 最後に残された言葉がこの言葉なら、ワタシは、恨み続けちゃうかなぁ~@@

 だってショック。



 久しぶりに会った祖母はもう息を引き取る直前

 「柿の絵を描いて」そう言われ、自分の限界を感じていた孫は、戸惑う。

 「人のためには描けない」「人のためには描ける」

 この言葉って、その違いって

 「絵を描く人」には大きな違いなのかなって、目から鱗でした^^

 何のために描くか・・・・



 父が自分の出生に疑念を抱いている。姉をいつもかばう。

 「愛されなかった」記憶がより「愛」を求める人間にしてしまう

 もっと愛して、まだ足りない・・・

 誰にも満たされることなく母のもとへと戻ってきた。そしていま、看取る。



 「君がいい」

 そう言ってくれた人。愛した人の祖母からは「珠を持っている人」と言われ不安を重荷ともせずに

 結婚をする。

 生きていることに生きてゆくことに希望を感じる。そうゆうことって何でもないようでホントは

 とっても大切なこと。



 何もかもから逃げ出した筈で、でも結局戻ってきた。

 最後に救われて、今を生きている。

 差しのべられた手に最後のお別れを。



 

 すべてのお話がどこかでつながっていて、何事もなく幸せなようで

 でもどこかにさみしさが残っている。

 「誰かが自分を愛している」「必要としている」

 読んだ後しばらくしてそんな思いが生まれてきました。



 全編を通してその季節「秋」という景色が 「死」というものを幻想的に捉えさせてくれているような 気がしますvv

 自分の野辺送りをどこかから見送る。



 金色の風景は、まさにこれからであります。