笑う門には福も来る

鈍間な主婦の気儘で憂鬱で有頂天な日常。

『おまえさん』・宮部みゆき著

***








それでも人は、恋をする
















『ぼんくら』『日暮し』に続くシリーズでございまして

弓の助くん、大活躍
おでこちゃんも、その記憶力がフルに活かされると言う
お望みどおりの展開に
いつも通りに胸が痛むと言う・・・



とある作家さんがこの先生を「オールラウンダー」な作家であると評されている
何となく、分かる
でもどの作品を読んでも(結構読んでいるのです)その根底に流れているものって
どれも同じであるような気がいたします

物語を通して、伝えたいところとか
あ、でも相当趣味に走ってる!
なんて感じる作品もあるのですがそこはそれで好きですねー
世界観がしっかりと枠組みされていてどの場面も辻褄の合うあの抜かりの無さって、凄い。

この作家さんはそこがすごいと思うのです
後で思い返して

じゃ、あれってさ・・・・

が、ワタシにはないのですよね
あれは凄い!






あぁそうだった感想・・・
でもこれものすごく前に読了してて
ただ切なかったのが、信之輔さんの立ち位置
笑顔に唆されて、自分の想いを巣食われた
それが彼女の計算であったのか偶然出会ったのかは分からないけれど
彼の落胆と言うか哀しみと言うか悔しさと言うか

ワタシの感情も彼に巻き込まれてしまった
最後の、あの行為
やっぱり天晴。
あそこで踏みとどまれるからこそ、信之輔さんなのだろうなぁ。



「おまえさん」


幼い彼女が手に入れたかったのは、何だったのだろう
見苦しくて哀しくて哀れだった
要するにお父さんがしっかりしていればよかったのかなーなんて
なんか思ってしまった



男女の沢山の思惑が描かれ
色んな女の人の人生があった
本当にいろんな描かれ方をされていて
これがまたどこにも同意出来たり反感をもったりで
事件の解決よりもそこにワタシの想いは振り回されてばかりだった

本当に、どの女の人も、絶対に居る居る!

な感じでですねー
そこに生まれる恋もね
あぁ男ってなんだかなー、みたいなね

面白かった・・・・・



あのちくりとぐさりとやる描き方、大好き好き好き!
気持ち良かった、色んな意味で。


そんな中、一陣の爽やかな風をワタシの心に遺してくれたのは、源右衛門殿
ですよね
本当はちゃーんと分かっておられるのですよね

どんな生き方をしよう
この方のきちんと伸びた背筋を想像し
実直な言葉を受け止めながらなんだか泣けた

歳をとったって人は
ううん年を取っているからこそ人は
自分の生きる場所が欲しいと思うものなんだ




ワタシも、ちゃんと探そう









弓之助君はこれからどうするんだろうなー
お兄ちゃん、なかなか人気者になっちゃいそうだしねぃ。