笑う門には福も来る

鈍間な主婦の気儘で憂鬱で有頂天な日常。

『無花果の実のなるころに』 西條 奈加著/東京創元社





お蔦さんは僕のおばあちゃんだ。もと芸者でいまでも粋なお蔦さんは、面倒くさがりなのに何かと人に頼られる人気者だ。そんな祖母と僕は神楽坂で暮らしているけれど、幼なじみが蹴とばし魔として捕まったり、ご近所衆が振り込め詐欺に遭ったり、ふたり暮らしの日々はいつも騒がしい。神楽坂界隈で起こる事件をお蔦さんが痛快に解決する!あたたかな人情と情緒あふれる作品集。


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この作家さん、いつも時代小説を読ませて頂いているのですが、今回は初の現代小説。
と言いましても、主人公は少年である様で、なんだかお蔦さんのような。

気風が良くて、粋で。
真っ直ぐにこんな風に、変に気を回さずに居られると良いんだよなぁ、私も。
そんな事を思いつつ読了。

描く時代が違っても、やはり素敵な作家さん。大好きです。
短編連作集で、こちらもミステリ。
謎解きの途中でお蔦さんが何気に発する一言に、毎日を過ごす私へ絶妙なアドバイスとも取れる表現があったり
ひやりと人の無意識の悪意をわざわざ救い上げたりしている。ここが、ただの物語では終わらないところだ
うううううむ、と唸って、くくく、と嗤って、本を閉じた。






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