笑う門には福も来る

鈍間な主婦の気儘で憂鬱で有頂天な日常。

「ぬばたま」・あさのあつこ






「ぬばたま」・あさのあつこ


              

                     http://img.7andy.jp/bks/images/i4/32008184.JPG
山は人魂の還るところだ。恐怖の裏に安穏があり、冥福がある。山に囲われて生きた者は、みな誰も還るのだ。山に抱かれて朽ちていく。都市の人たちはあの恐怖を、あの陶酔を、知らないのだ。逝く者と残る者と、淋しさはどちらが勝るのだろうか。答えはまだ、つかめない。生き抜く苦しみを知る大人たちへ贈る慈愛に満ちた物語。




 山にまつわる 4つの物語



 朽ちてしまった 山あいの村。



 かつての住人が 心に「何か」を抱え、再び村へ戻る。



 そして、「山」と向き合う。




 そこから 「物語」は 始まる・・・・・




 寂しさや、怖さの残る 物語達でした。





 何度も描かれる 「緑」の怖さ。



 同じような気持ちになったコトのあるワタシには



 思い出の中に 気持ちがさらわれるような気がして



 とっても 不思議な気持ちで読みました




 仕事と家族を一度に失った 中年の男が

 記憶の中で「山に消えた母」を 思い出し

 自分も 山へ、奥深く進んでゆく・・・・



 かつて好きだった 少年からの一本の電話で

 都会の主婦として平凡に生きていた 女は

 少年を迎えに 

 あの山へ 戻ってゆく



 友達が死んだ

 あの山で死んだ

 お葬式で 村に戻った男は

 あの山と 自分の行いに向き合う



 「死人」が見える

 同じ人を見つけた

 「山へ帰りなさい」鏡とともに 死人と向き合い

 そうしていつか自分が・・・



 そして、山とともに

 自分の肉体を 運命を 山にゆだねた老婆




 切なくて 恐ろしくもある

 だけど悲しくもある



 そんな1冊でした