笑う門には福も来る

鈍間な主婦の気儘で憂鬱で有頂天な日常。

「ぼくのメジャースプーン」*辻村 深月著






「ぼくのメジャースプーン」*辻村 深月著


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ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった―。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。
チャンスは本当に一度だけ。これはぼくの闘いだ。
 


sao☆マガジンタワー





「10歳の壁」
子どもを育てて居て、そんな言葉にぶつかった事があるのです
そうしてこの物語の彼らはそんなお年頃。

子どもから少年少女へと移り変わるその時期に
自分の事でさえ精一杯なのに
僕は向き合うのです。彼女の為に。



そんなものなんだよ。
大人が想像する以上の遣る瀬無さに打ちのめされる彼に
本を読んでいるワタシは胸中でそう囁く。
だってうさぎだから、それは命である様で、ある意味命では無いのだよ。

分かっている大人としての常識を言い聞かせるには
簡単に言いくるめて終わりにしてしまうには
僕の傍に居る彼女の壊れ方は悲惨なものだった。


ただ大切だと思う事
ただ助けてあげたいと思う事だけが
ただ真っ直ぐに描かれていて
僕の感情はただふみちゃんを想う事ののみにスポットが当てられて居て
僕の不安定さを読んでいる者にすら気付かせない。

だから知らされる瞬間
思わず涙が溢れるのです。

子どもだって
子どもだからこそ
大好きな人の為にあれほど必死にひた向きに向かってゆけるのだろうな。
犯人の心と向き合えるのだろうな、自分の命を掛けてでも。



一度だけ。

ワタシは何と言いたいだろう。
読みながら並行してずっと考えていました。


救いは周りの大人達
あんな先生がいてくれてよかったなぁ、なんて安心したり
キャラ的に非常に好みだった・・・
過去に何があったのか、そこが深く知りたかったのですがwww
まぁそんなマニアもワタシぐらいなのでしょう。


間違ってない。正しい。
そう言ってくれたから、でも傍には居られなかったから。
感謝と尊敬と後ろめたさとが綯い交ぜになって僕の心に居座っている
そうしてそれを全部抱え込んで小学4年生の心は向かってゆく。

たとえふみちゃんが自分に自信がなくっても
見てくれている人はちゃんと居る
大好きなんだと思ってくれている人はちゃんと居るんだよ

おかえり。

壊れた心はつぎはぎのまま大人になるのかな
それでも良いと思う、それでもきっと僕は
うさぎの思い出に蓋をせず、隣に居ると思う。

今度こそずっと。













おしまい